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不自然に揺れる身体から、どこか遠くに引き剥がされた意識が嘲りの笑みを浮かべて見下ろしている気がする。
――あれ、俺、何してたんだっけ…
ふわふわと頭の外で遊んでまとまらない思考。
その上先ほどからしきりに誰かの声とよく分からない物音が耳の奥に木霊して、考えることを邪魔してくる。
――何だよ、うるさいな…
確か今は夜中だ、近所迷惑だと文句の一つでも言ってやろうと思い立つも、身体が動かない。
正確には動かない、ではなく。
前後左右に、不規則に揺さぶられて。
その動きに呼応するように、何となく聞いたことのある声が響いている。
「っぁ、あ…!ひゃあぁっ――そ、こ…もっとぉ…!!」
――ん…!?
「ははっ…すっげ…ここ、きもちい?」
――待て。待て待て待て。
やめろ、帰ってくるな…!!
甲高い嬌声でしきりに啼いているのが誰かも、脳ごと揺さぶられているようなこの感覚の正体も、分かってしまって。
トンでいた意識が身体に引き寄せられていくリアルさが気持ち悪い。
どれだけ来るなと願っても乖離した意識と身体は惹かれ合う磁石のように、急速に寄り添ってその手を取る。
「――っあぁぁ…!!ふぁ…っあー…!!」
まだ少し不明瞭に、けれど確かに戻ってきた感覚が訴えるのは脳が痺れて灼け落ちそうになるほどの快楽。
どうして、どうして。
こんなことになったんだっけ…?
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