線香花火とキス

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「ほら、これ」 あたしにスマホの画面を見せてくる。 「花火の日?」 「そう。だから、これ」 さっき地面に置いた線香花火を手に取る。 「須坂さん、なんだかの日に詳しくすぎませんか?」 「うちの姉ちゃんがめっちゃそれにうるさくてさ。一覧書いた紙昔から家に貼られてんの」 面白そうに笑う須坂さんにまた違う一面が見れたような気がする。 「俺もこの前はどうしたらいいかわかんなくなっちまって。お前の気持ちもわかんなかったし。だからこの日を使うことにしたんだ。不安にさせたならごめんな」 あたしの手をぎゅっと握る。 「これからはちゃんと目、合わせてくださいね」 「俺、そんな目合わなかった?めっちゃ見てたつもりなんだけどほんとダメだな。こういうのほんと」 いつも会社ではバリバリ仕事ができる須坂さんが、こうしてあたしにだけ見せてくれる表情がすっごく嬉しい。
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