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「あそこ行こう」
須坂さんが指さしたのは会社近くにある公園。
「…公園?」
須坂さんのイメージからはかけ離れていて不思議に思う。
「俺だって公園くらい行くから」
普段笑わない須坂さんがふっと笑う。
その笑みにあたしの心は奪われるんだ。
「これ、やりたいんだ」
須坂さんがカバンから出したのは二本の線香花火。
「線香花火…?」
「また柄にもなくとか思ってんだろ?」
その通りすぎて思わず頷いてしまう。
「素直だな」
〝そういうとこがいんだけど〟
とそっとあたしのおでこにキスを落とす。
「す、ざかさん…」
「お前さ、アイツのこと好きなの?」
「え?」
あたしが好きなのは目の前にいる貴方であって。
ほかの誰でもないことを気づいてはくれないのだろうか。
「塚田のこと」
「元太のことは何とも…」
「ふーん。あいつは違うよな」
「…たぶん」
そんなのいくらあたしだって気づいてる。
なのに、どうしてあたしの気持ちに気づいてくれないのだろうか。
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