線香花火とキス

9/13

65人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「まぁ、いいか。はい」 あたしに線香花火を1本握らせて彼はしゃがむ。 あたしも彼の向かいに腰を落とす。 「俺が先に落ちたら…」 「落ちたら?」 「お前から離れてやるよ」 あたしを見るその目は真剣だった。 「なん…」 「お前が先に落ちたら…」 須坂さんが言い終わる前にあたしは線香花火を地面に置く。 「夕凪?」 「なんで離れるんですか?」 「お前、嫌じゃないのか?」 須坂さんも線香花火を地面に置いてあたしの頬を両手で包む。 「あたしの頭を須坂さんでいっぱいにしたのは須坂さんなのに!ずるい!」 気づけば須坂さんに向かって叫んでた。 「俺でいっぱいなの?」 「あんなことされて須坂さんのこと気にならないなんて、あたしには無理です!須坂さんはからかっただけなのかもしれないけど、中途半端にしないでください!」 須坂さんがあたしの腕を彼の方に引っ張る。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加