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「もう大学に行く意味も見出せないや」
この一年間、マサと同じ大学に入るためだけにがんばってきた。
だから、もう行く意味がない。
「乗らないの?」
ふと後ろからそんな声が聞こえた。
「あ、乗ります」
いつの間にか地下鉄がきていたようだ。
地下鉄に乗ってから路線図を確認する。
ここは真ん中の駅なようだ。
とりあえず終点まで行こう。
「どこまでいくんですか?」
さっき声をかけてきた男の人に聞かれる。
「...さぁ」
行くあてなんてなかった。
どこまでって聞かれても答えられない。
「なんか悲壮感ただよってるけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ。きっと」
死にたいとかはないから。
見ず知らずの人に何もかも話す勇気はない。
「なんかどこかで見たことあるんだよね」
「そんなわけないですよ」
あたしはこっちの人間ではないし。
よくあるナンパの手口のようだけどこの人がナンパをするようには感じられなかった。
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