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東京‥人の波があわただしく、寄せては返す街。
ネオンの輝き、夜の蝶‥そんな華やかさとは遠く離れた裏路地で
ひっそりと赤ちょうちんに火が灯る。
古めかしい暖簾には「居酒屋くまねこ」の文字。
そこに、1人の女性がやってくる。
苦労を多く重ねた女性の華奢な肩。
けれど、それでは冷たい世間を生き抜けなくて
気を強く、豪快に笑ったりしているが‥
『僕んとこに来た時くらい、ホンマのお姉さんでええですよ』と、居酒屋の主人は言うだろう。
ここの主人は変わっていて、どこからどう見ても「50センチ大のパンダのぬいぐるみ」。
名を「伝助」という。
『疲れた人、悲しいことがあった人‥僕のお店に来てください。
飲んで騒いで、なんやったら一緒に泣きます。
嬉しいことがあった人、幸せがやってきた人も、僕のお店にどうぞ♪
一緒に喜んで、パァーっと騒ごやないですか』by伝助
『まいどぉ!!!』のれんをくぐれば、伝助の元気な声。
『まいどって‥はじめてくるんだけど』
『そないなこと、気にしたらあきまへんえ。
関西では、初めてやのぅても初対面でも
「まいど」と「儲かりまっか」は、あいさつの基本ですがな』
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