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……………………。
のりこ「なによ、お金がないと部屋を貸せないなんて、どうかしているわ。あんなものが何になるというのかしら」
(のりこは、街中を歩く)
のりこ「それにしても、みんな早足でなにを怒っているのかしら」
(歩道の隅で、顔を伏せ、うずくまっている男性を発見する)
のりこ「あらいやだわ、具合が悪いのかしら…?」
のりこ「もしもし…?どうかなさったの?」
男性「……………。」
のりこ「あなた、言わないとわからないわよ、具合がわるいの?」
男性「……また仕事を失った、金もない、家もない、かなり前に妻にも逃げられた…もうおしまいだ。」
のりこ「それがどうかしたというのかしら?わたしには、わからないわ。仕事を失い、お金がなく、住む家もなく、奥さんに逃げられた、だからといって、あなたの価値が損なわれることはないわよね。」
男性「…………………。」
のりこ「あなたが、それらに価値を見出さなければ、どうなるかしら。そうなれば、憂鬱な気分なんて消えるはずよ。」
男性「…なんてこったい。おれはどうかしていたな…こんなものが一体なんだというんだ!」
(のりこは、そっと手を差し伸べ…)
のりこ「あなたの理解に感謝します。わたしは、のりこよ。あなたは?」
男性「…のりこさんか。おれは、ひろしだ。」
ひろし「のりこさん、家はどこだ」
のりこ「わたしも、ないのよ笑 さっき地球に来たばかりで、ガイドブックに書いてあるとおりに不動産屋に入ったのだけれど、金がないとだめだの一点張りよ。わたしの星では家があれば誰でも好きに出入りできるのよ。」
ひろし「のりこさん…宇宙人かい笑 驚かないし、信じるよ。そんな気がしたからな。そこらへんの人間とは違う感じがするからな。」
のりこ「あなたの理解に感謝します笑 ガイドブックには地球では建っている家の部屋に勝手に入ったら騒ぎになる と書いてあるけれど本当かしら。」
ひろし「そうよ笑 地球には家に所有者がいて、入るには承諾がいる。」
のりこ「やあね笑 だからこんなにギスギスしているのね。」
ひろし「寝る場所を探さないとな…」
のりこ「いいわよ、今から、シリウス星に帰って、地球のお金を用意してもらうから笑」
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