3人が本棚に入れています
本棚に追加
第三話 復讐
パソコンのモニターに、SNSのページが映っている。金森大輔という男のタイムラインが表示されており、レストランの店内をバックに、自撮り写真をアップロードしていた。額に垂らされた前髪と、半月のように唇を開いた笑顔が、自信とナルシシズムを感じさせる。それを裏づけるかのように、隣には黒目がちの美女が頬を寄せるように写っていた。コメント欄にはこう書かれている。
『バースデーディナーは、夜景の見えるホテルにてフレンチイタリアン。彼女も満足してくれたみたい』
吉崎浩之はマウスを操って、淡々と過去の記事を眺めていった。普段の彼ならばこんなものを見ると、怒りで身を焦がしそうになるところだが、今はそれを上回る復讐心が燃え盛っているので、全く苦にならなかった。自分が与えられた屈辱を、何倍にもして返すために、あの五人の素性を詳しく調べ上げることが、日々の生活の中心になったのだ。
連中のうちに伊東せなと星山綾火がいることも、嫉妬の炎に油を注ぐ結果になっている。彼らはどうやら幼馴染らしいことまでは分かったのだが、グループ内で交際しているかどうかまではまだ定かではない。もしそれが判明すれば、恋愛禁止というアイドルの不文律に反することになり、神島紗絵香と同罪になる。むしろ本気であるぶんだけ、紗絵香よりも罪は深いかもしれない。下着を盗むぐらいでは済まなくなるだろう。心が痛むが仕方ない。
最初のコメントを投稿しよう!