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成績優秀、スポーツ万能そんな彼女は、クラスではもちろん学校中の人気者である。ただ、彼女には人に言えない秘密があった。それは、彼女が霊能力者だということ。彼女は、その力を使って、さ迷える霊達を救っているのだ。ただ、中には明菜の説得に耳を貸さない者もいる。そんな時は、他の人に危害を加える前に滅する。明菜が、一番辛い時である。出来れば滅する事なく、皆、上に上げてあげたい。明菜は、いつもそう願っている。明菜の元には、いつも依頼の手紙が来る。今日も、家に帰ると一通の手紙が届いていた。明菜は、依頼を受けて仕事をしているが、料金は一切取らない。手紙は、3ヶ月前に交通事故で息子を亡くした母親からだった。「あの子は、事故現場から離れられない様なんです。どうぞ、貴女の力で息子を助けてやって下さい。息子の名前は、卓也です。どうか、お願いします!」明菜は、呟いた。「地縛霊か…。ちと、厄介かな?それに、その他諸々の霊達も集まって来てる可能性もあるわね。でも、放って置くわけにはいかないわね。」明菜は、普段着に着替えると後ろに向かって言った。「ほら、行くよ!」白いもやが、明菜の後ろに着いた。明菜の式神達である。式神は、能力者が力を使っている時に、手助けをしたり守る事が仕事である。「私は、卓也君の説得に集中するから、その他諸々の連中は、あんた達に任せたわよ!」式神達は、頷いた。と、言っても明菜にしか見えないのだが…。手紙には、事故現場への地図が同封されていた。「電車を乗り継いで、一時間ってところか…。」明菜は、そう呟いて家を出た。もちろん、後ろには式神達が着いてきている。途中で浮遊霊に、出くわした。明菜は、慌てる事なく式神を飛ばした。浮遊霊は、瞬く間に消えた。「ふん!雑魚が!」そう言うと、再び駅に向かって歩き出した。駅に着くと電車を乗り継ぎ、事故現場へと向かった。現場には、花やお菓子が供えられていた。そこに一人、道端にしゃがみ込んで泣いている男の子がいた。思った通り、周りには色々な霊が集まって来ていた。明菜は、心の中で式神達に命令した。「周りの連中、任せるわよ!」そして、泣いている男の子に優しく声をかけた。「もう、大丈夫だよ。泣かないでね。私は、貴方のお母さんに頼まれて来たの。」男の子は、驚いた様に明菜を見る。「お姉ちゃんは、僕が見えるの?僕とお話し出来るの?他の人達は、僕の事全然分からなかった。」
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