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明菜は、優しく言う。「坊やは、卓也君だよね?」男の子は、頷いた。周りには、色々な邪霊が集まって来ていたが全て明菜の式神達が追い払う。「私はね、卓也君のお母さんに頼まれたの。卓也君が、いつまでもここに居ないで早く天国へ行ける様にしてほしいって」明菜は、優しく言う。「でも、僕ママとパパに逢いたいよ!」そう言って、卓也は泣く。子供に死を説明するのは、難しい。明菜は、優しく諭す様に言う。「卓也君の気持ちは、分かるよ。でもね、君はもう死んじゃったんだよ。前に、ここで車とぶつかった事、覚えてるかな?」卓也は、頷く。「うん。大きな車と、ぶつかった。凄く痛かった。」明菜は、言う。「それじゃ、今は?痛い?」卓也は、首を横に振る。「ううん、痛くない。」更に、明菜は言う。「それが、死んじゃったって事なの。卓也君は今、幽体って言って魂だけになったの。肉体つまり体が無いの。だから、他の人達は卓也君が見えないし、声も聞こえないの。」卓也は、言う。「それじゃ、僕もうママとパパに逢えないの?」「そんな事ないよ。再生って言ってね、また、この世に生まれて来る事が出来るの。その時に、またママとパパの子に生まれて来れば良いんだよ。その為には、天国へ行かないと駄目なの。再生の用意をするんだよ。だから、いつまでも、ここに居たら駄目なの。分かるかな?これからは、卓也君が天国からママとパパを、見守ってあげてね。」明菜が、そう言うと卓也は頷いた。「うん!分かった!僕、天国へ行くよ!ママとパパを、見守ってあげる。そして、またママとパパの子として絶対に生まれて来るんだ!」明菜は、微笑みながら「そう、分かってくれて私も嬉しいよ。」と卓也に言う。「でも、どうすれば天国へ行けるの?」卓也が明菜に聞く。明菜は、「それは、私が手伝ってあげる。」そう言うと卓也の前で印を結んだ。すると、白く眩い光が卓也を包み天へと昇って行った。明菜は、それを見送った。「さてと、今日の依頼は終わり!」式神の一人が明菜に言う。「お嬢、今回は手こずるかと思いましたが、案外あっさり片付きましたね!」明菜は、「そうね。素直な子で良かったわ。じゃあ、帰りましょう。あんた達も、疲れたでしょ?家に帰ってゆっくり休みましょう。」そう言うと、歩き出した。式神達も、その後に付いて行く。こうして、明菜は依頼がある度それを引き受け、解決しているのだ。
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