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明菜の日常の風景
明菜は、毎朝6時に起きる。明菜の家は、父、母、姉そして明菜の4人家族である。父は、某大手製薬会社の研究班長をしている。母も、以前そこで勤めていたが、結婚を機に退職した。姉は、某有名大学の医学部に在籍している。かく言う明菜も、某有名女子高校に通っている。いわゆる、学者肌一家である。そんな家族だから当然、霊の存在等信じる訳がない。明菜が、TVの心霊番組を見てたりすると父は、決まって「何だ⁉この下らん猿芝居は⁉」と言ってTVを消してしまう。母も姉も、似たような反応をする。だから明菜は、心霊番組を見る時は自分の部屋で見る。でなければ、ビデオに撮っておいて後で家族に、ばれない様にこっそり見る。もし、自分に霊能力がある等と家族に言ったら、間違いなく笑い飛ばされるか、怒られるに決まっている。下手をすれば、家から追い出されるかも知れない。だから、明菜は家族には絶対に自分の力の事は言わない。明菜の力の事を知っているのは、明菜自身と後1人だけである。今日も、明菜は起きてから歯を磨き顔を洗う。それから、制服に着替えて朝食をとりに2階からリビングに降りて来た。明菜が「おはよう」と声をかける。父は、新聞から目を離さずに「ああ、おはよう」と言う。姉は「おはよう」と、ぶっきらぼうに言う。母は「明菜ちゃん、おはよう」と、朝食の支度をしながら言う。明菜が、テーブルに着くと母は朝食を出してくれる。父は新聞を見ながら、姉は分厚い専門書の様な本を見ながら、朝食を食べている。母が「お父さんも、洋子もちゃんと、朝食を食べて下さいな。」と言う。明菜は、1人黙々と朝食を食べている。毎朝の事だが、いつも朝からへこむ。明菜は、朝食を食べ終わると学生鞄を持って「行って来ま~す!」と家を出た。朝から、あの重い雰囲気には堪えられない…。明菜は、電車通学である。家から駅まで歩いて10分、そこから電車を乗り換えて学校までは約45分である。つまり、家から学校までは約1時間かかるのだ。今日も、駅には人が溢れかえっている。無論、生きていない人も含めてだが…。明菜は、いつも思う。死んでいるのに何故、上に行こうとしないのだろうと…。自分が死んでいる事が、分からないのか?それとも、何か未練があるのか?かと言って、ここに居る霊達と話していたら、完璧に遅刻である。だから明菜は、いつも見ないふりをしている。
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