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翌日、明菜の熱は嘘の様に下がった。両親は、驚くやら嬉しいやらで戸惑っていた。それから、明菜は霊能力を発揮した。色々な所で、多くの霊達と遭遇した。明菜は、「どうして、死んでいるのに上に上がろうとしないんだろう?」と、思った。まだ、幼い明菜には霊達の事情等、分かる筈もなかった。ある日、明菜は母と買い物に出掛けた。その時、店の前に座り込んでいる男を見た。明菜は母に「ねぇ、お母さん。あの人、どうしてあんな所に座り込んでるの?」と、男が居る所を指差して言った。母は、明菜が指差した所を見た。母には、何も見えなかった。「誰も、居ないじゃないの。バカな事、言ってないで。さぁ、帰るわよ。」と、母は明菜の手を引いた。明菜は、女性が言っていた「人が見えぬもの」という言葉を思い出した。明菜は「そうか、お母さんには見えないんだ。」と、思った。それから、明菜は母の前では霊が見えても、黙っている事にした。
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