770人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
-3-
大輔からカフェに呼び出されたのは、数日後のことだった。
ペパーミントグリーンの大きな扉を開けると、一番奥のテーブル席に大輔と信吾くんの姿があった。合わせ鏡のように、2人同時に手を上げて見せる。
席に着くと、隣の大輔が得意げにメニューを広げ、こちらに差し出した。
「何でも好きなもの頼んでいいよ。支払いは気にしないで」
「……なに? 何か企んでるの?」
わたしが訝しむと、
「変な言い方するから瞳ちゃんが警戒してんじゃん」
信吾くんが可笑しそうに笑った。
「頼むからドン引かないで。ご馳走するのにはちゃんと理由があるんだ。今日はスポンサーからランチ代が出てるんだよ」
「スポンサー?」
「そう。この会合は、瞳ちゃんにある依頼をするための交渉の席ってわけ」
「依頼って……」
「まあ、まずは何か注文しようか。話はそれからにしよう」
最初のコメントを投稿しよう!