人知れず

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「こっちに戻ってきたの?」安野に聞かれ成見が頷く。 「転勤でね。三年ぐらいはいるんじゃないかな」 「戻るなら戻るで連絡ぐらいしろよ。オレが発見しなかったら未だに会えてなかっただろ」言いながら上手いこと思いついたのか「未確認生物…UMAだな。この瞬間に出会ったみたいなの」自分の話に一人で笑っている。 「連絡するにも何もないしなぁ」 「知ってるったら実家の住所ぐらいしかないか」成見も安野も真崎の存在を無視したまま「高校の頃の連絡先なんて今どこにあるかも。だよね」「確かに。どれかの段ボール箱の底の方じゃないかな。じゃあ、みんな実家から通っているの?」話しは進んでいる。 「なんだよ。相変わらずノリ悪いな」 「みんな一人暮らし。近いけど帰ってないな。そういや」 「近いって言っても会社に通うの大変だから、そうならざる得ないのもあるのか」 「それもあるし、いつまでも実家っていうのもイメージ的にはね。でも、ユウはよく帰ってるみたいよ。あの子、実家好きだから」 「おいおい。無視かよ。このオレを無視かよ。オレがタキを捕らえたんだぞ。第一発見者のオレがここに連れてこなかったら話せてもいないのお前らわかってんのか?」 「リョウ。発想が後退してんよ。ナリがいるからって頭の中まで高校生程度まで遡らなくてもね」少しのため息と「いつまでも子供なんだから」なんてボヤキまで。 「まぁ。悪くない。マサキらしくてオレは良いと思うよ」真面目な顔して言われ「傷つくわ。その言いぐさ。逆に」次は真崎が成見にため息を吐いた。
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