9人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「そうかな?」真崎の傷つく理由に気付かないまま「というか。結婚ぐらいできそうな気がするんだけど?」成見の意識は西野に向いていた。
「何がこんなにさせてるんだ?」
「まぁ。泥酔するほどに上手くいってない」
「それはいいだけ言ってたからわかるんだけど。そんなに結婚とか悩んでるのが理解できない。したいけど、どうしたらいいかなんて言いながら相手任せで自分からは動きませんにしか聞こえてなかったしね」
「それでも今まで何人かは付き合って結婚も考えた人もいるのよ。でもそこからうまく進んでいかない」
「仕事出来たら浮気のセットとか。仕事辞めて家族と同居とか。男運ないのか見る目ないのか」
「余計なお世話。どうせ男なんてそんなものでしょ。っていうかいちいち横ヤリ入れるのやめてくんない。補足するの面倒くさいんだけど」
「そんなに絡んでないだろ」
「どうせこの後もつまんないこと挟んでくるんでしょ。釘よ。釘。そうでもしとかないと話だけ長くなるじゃない」
「 よくわかってんねぇ。その感じだとオレの良さも」
「それは結構。今まったく、あなたの情報で話を盛り上げるつもりはない」最後に真崎をひと睨みすると成見に目を向けて「ごめん。すっかり話逸れた」と謝るときには困ったような表情になった。
「ん?」
「なんでもない」不思議なものでも見るかのように安野を見つめていた成見はゆっくりと首を横に振り「仕事も含めて西野らしく悩んでるってことだよね」適当に頷いているみたいに見えた。
「そうか。そうか」右手の指先で自分の顎をさすりながら目を閉じて口もとには笑みを浮かべているのを真崎と安野は目にした。
「 なに笑ってんのよ?」真崎が聞いても「笑ってる?」聞き直したくらいでそれ以上は答えない。
最初のコメントを投稿しよう!