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深いため息を吐く。
会社の中で1人になるとすぐ出てしまうのは悪い癖。
すぐに周囲を気にしてしまう私自身も嫌になる。
ここ最近は気持ちも疲れてるからため息ばかり。
休憩室はガラス張りで中を見て思わず2度見してから足早に身を隠した。
もう1度のぞき込む。
藤島と成見…どうしてこの2人?
並んで座り会話しているよう。
笑ってる?
成見の柔らかい表情が目に入ると思わず眉をしかめてしまった。
「何やってんの?」
普通の声の大きさでも驚き過ぎて大慌て。
そんな私よりものぞいてた先に興味が湧いてるらしい同期の彼女は脇から抜けて休憩室を大げさに覗き込んだ。
「あぁ」状況を把握できた彼女はこっちに薄笑いを浮かべ「おぉ。どういった組み合わせよ」大声でわざとらしく彼らの興味を引くからどうしたって壁にへばりついてる自分が情けなく思えてなるべく平静を装いながら彼女の後ろから手を上げた。
黙っていると怒っているようにも見える成見の横の席に腰掛けた。
ここしか空いてない。
落ち着け私…さっきからペースを引っ掻き回されて仕事モードに戻れていない自分を取り戻すのに必死だった。
「西野」さん付けしない成見の声に顔を向ける。
「気にするな」彼は笑みを浮かべて言った。
「気にしてない。気にしてない」手を横に振る。
「だったら。そんな顔するな。西野が台無しだろ。背中丸めるな。2度同じことを言うな」
嫌な顔して成見を見ると真面目な表情だったんで驚いた。
「言わなければならなかったのはこっちのせいで君じゃない。気にすることじゃない」
この人は誰が周りにいても関係ないらしい。
成見らしいな…誰にも流されない強さは私にないと思い出した。
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