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居酒屋が好き
「ほう。焼けたね」私を見た成見の最初の言葉。
「まぁね」柔らかく笑う君を見て自然と笑みを返す。
いつも通り目の前の席に座る。
ウーロン茶を注文して定食をメニューから物色する。
食事に興味ないし悩まない彼はすぐに定食も注文を終わらせたのに、なぜか本日のおすすめなんて手にしてみたりして。
安野も真崎もいるからこの人は会話を面倒くさがる。
どうせ同じ話をしているから自分がまた聞くこともないだろうなんて思っている。
そんな彼の前に素敵なプレゼントを。
テーブルに自分に向けられた置き物が現れて成見の目が点になる。
「どうぞ。旅行のおみあげ」
真崎がそれを見て笑って吹き出すも成見は私とおみあげを交互に見比べ「あぁ。ありがとうございます?」不思議がっている。
「箱とか。ないの?」
「わかりやすいように出しておきました」
「わかりやすいように?」
「そう。どんなおみあげか。わかりやすい」
「シーサー?だよね?」
「ありがたいことにね」目を細めて彼を睨みつけても訳わからんみたいな顔しかしない。
「こんな縁起の良いのと似せていただいて」腹立たしいというよりも蔑みたい気分。
「まぁ。家に置いてよ」手にして眺める成見の先にいるシーサー越しの私。
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