居酒屋が好き

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シーサーの置き物をかたわらに定食を無口に食べ続けている。 成見を含めたおかしな光景を眺めてる。 誰かといても他の人同士が話していてくれるならほとんど話さなくなる。 酒に飲まれてしまう手前まで。 感情が抑えられなくなる手前まで。は。 安野と真崎が話しているそばで聞きながら目は成見で口は。甘いお酒でも含んでいる。 知っている二人は話さない私がいても気にしない。 と言うか、下手したらいてもいなくても変わらないのかも知れない。 それはそれで傷つくけど。 「構われなくてもいいんだけど」 「一人の方が楽なんだけど」 すぐにわがままだって突っ込まれる。 「そう思ってないくせに」だって。 よく知ってる安野に言われるとなんだかヘコむ。 先に幸せになる親友に置いていかれた寂しさも。 少々の悔しさもあるけど。 自分の本当と向き合って。 本気の相手と向き合って。 その先にある期待や不安とも向き合って。 いろいろを真正面から向き合うことを考えると出来るなら今のままがいい。 そう避けてきたのが私らしかったのに親友が当たり前に向き合って越えてしまった現実を羨ましいと思うのもわがままなのかもしれない。 一人じゃ不安でも二人なら。 叶えるためにはどうしたらいいのかな。 「これって対じゃないの?」 気づいたら食事が終わっていたらしい。 「対?」 いきなり話しかけられてもわからないって。 「相手いなかったのかな。シーサーって二体でセットなイメージなんだけどね」 君の時間はシーサーから止まっていたんだね。 なんて呆れてみる。 「 持ってるけど?」 途端に表情が明るくなってるし。 「そのシーサーどうするの?」 何を急に興味持ち始めたの? 「どうするって」 全て君へのおみやげなんだけど。 「欲しくなった?」 ちょっとへそ曲がったんで素直になれません。 「 出来れば対がいいと思うんだよね」 ちょっと難しい顔したところでね。 弱冠、話ズレた気がするのも成見らしいけどね。 「おぉ」 私の手から成見のテーブルの前にシーサーが2体並ぶ。 なぜか興奮している君は椅子を少し下げて目線をテーブルと水平に。 なぜかその周りを綺麗にして2体を並べることにしたよう。 スマホで検索したようで慎重に位置を修正しちゃってるし。 終いには椅子を除けてしゃがみ込んでカメラで撮ってる音させてるし。
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