居酒屋が好き

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「あれは。嫌だった」 そういう成見の目線は私のどこを見ているのか。 気付かないのも癪だけど。 「さっきもですが」 やっと目と目が合ってちょっと時間が止まった。 「今も。だよね」 こっちを見た成見の口元がへの字に曲がる。 ようやく気付いたか。 「こっちも嫌なんだけど。いちいちさ」 涙が流れそうになるのを目元を抑えて堪える。 君に見せつけるように。 「あぁ。ごめんね」 自然に出たんだろう私の笑顔を君は受け入れて頭を掻いた。 「なんか。上手く伝わらないね。西野にそうなって欲しくないんだけどね。嫌な目に合わせてるよね」 成見のあごをさする癖は悩んでいる時間。 何をしたかも。 何を言ったのかも。 相手がどう捉えるかの想像に乏しい成見にはたぶん気付かないだろう。 伝えるのも下手くそなくせに気に掛けることは人一倍な君。 嫌な目にあって涙なんか人前で流すほど子供でもない私。 友達の友達。 本当に気にしてもいなかったんだ。 許すとかもない。 悪いのは自分がそこに存在してしまったことで加知の中に生まれていた歪みが幸せな2人として永遠ではなくなった原因じゃないか。 本当に馬鹿。 そんなことを思っていて。 今さら謝ってくるなんて。 勝手だよね。     
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