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お湯の沸くのを待ちながら、マグカップを用意する手が小さく震える。
両手に紅茶をいれたマグカップを持つ手が震えるから、溢さないように気を付けながら高村くんが待つ部屋に入った。
「どうぞ、冷たい方がよかったかな?」
「こんな湿気の多い時期は熱い方がスッキリしていいよ。」
「そ、そう?良かった。」
さっきからカミカミだ。緊張で口が上手く回らない。握った手のひらはジットリ汗ばんでる。
胸は拍動を早めてちょっと気を緩めると倒れるかもしれない。
「仕事じゃなかったの?」
「け、化粧がとれてグチャグチャになったからズル休みしちゃった。」
視線を感じて高村くんを下から見ると、目が合ってしまい思わずまた下を向いた。
さっき泣いて化粧が流れたり剥がれたり、目も腫れていて見られたもんじゃなかったのに…
こっちを見ないで欲しい。
「泣いた?」
「……。」
「もしかして健のこと彼女と思って…?」
「知らない。」
そうだなんて素直に言えない。そんなこと言ったら、まだ好きってこちらから告白してるみたいじゃない?
高村くんの気持ちも分からないのにそんなこと言えない。
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