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「う、うん。頑張ってね。」
「頑張るよ、紅茶ご馳走さま。
じゃ。」
ヘアピースと眼鏡をかけて立ち上がって、玄関に向かう高村くん。
その後を追った。
靴を履いた高村くんが振り返った。
「またね。俺が出たらすぐ鍵をかけるんだよ。」
「うん、次会えるの待ってる。」
少し寂しげな笑みを残し、彼はドアを出た。
言われた通り鍵をかけ、緊張が緩んでハーッとため息が出た。
高村くんが何を考えているのか分からなくて、気持ちを素直に話すことが出来なかった。
ずっと会いたかった。会えたら恋の続きができると思っていたけれど…
素直になるには6年の歳月は長すぎた。
このまま気持ちを言えないまま、友達になっていくのかな…
悲しすぎる。
鈍よりとした悲しい空気に覆われたままベッドに腰を下ろし、いつまでも高村くんのことを考えていた。
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