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教室を後にして、トロ臭い足取りで、廊下を歩きながら各クラスのプレートを見上げた。
確か、華都音と百合男はD組だったはずだ。
ちなみに、華都音と百合男というのはクロエの幼馴染みのようなものだ。
D組の扉を開き、二人の姿を見つけクロエはうなだれながら傍に歩み寄った。
「華都音、お弁当わけて。忘れた。ていうか知らなかった」
「あぁ?」
いささか目つきが悪く、口にピアスを空けた、腰まである黒髪の年齢の割に大人っぽい彼女、古城華都音(コジョウカヅネ)は、なに言ってんだお前は。と言うようにクロエを見つめた。
「なんでいつも話を聞かねぇんだよ、お前は」
「だから知らなかったの。聞いてなかったんじゃないもの」
とにかくお弁当をよこせ。と言わんばかりにクロエは不機嫌そうに応える。
「あらぁ可哀想にねぇ。でもアタシ達もお弁当持ってきてないわよ?」
クスクスと笑いながら言ったのは、出雲百合男(イズモユリオ)。
金色に脱色した髪を肩下まで伸ばし丁寧にゆるく巻いている。
メイクは少し盛りすぎでは?と思えるほどだ。
男子生徒の制服を着ているが、所謂オネェである。
「なんですって??馬鹿なのあんた達っ!?」
「バカはてめぇだよ…。学食。中学と違って学校食堂があるだろうが」
言われてクロエはきょとんと二人の顔を交互に見た。
「ふふ、せっかくだから今日は学食に行ってみましょうっ、てことにしていたのよ♪」
なるほど。
そう言えば、昨日の校内案内でやたら広い食堂やら、学校にしてはお洒落なカフェテリアまでもあった。
「お財布持ってくる」
てとてとと自分のクラスに戻り、それから財布を片手に携えて、華都音と百合男と三人で学食に向かった。
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