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────同じ頃、唯はズボンの後ろポケットに財布を突っ込み、学食に向かっていた。 一人暮らしで、いつもは自分で弁当を作るのだが、たまたま寝過ごした為学食でパンでも買おうと思ったのだ。 いかんせん、唯は寝起きが凄まじく悪い。 本来起床する時間の一時間前からスマートフォンのアラームを繰り返し聞かないと起き上がれないのだ。 今日に至ってはスマートフォンを投げ飛ばしていた。 学食に入ると、坂本が、おや?と唯に近寄ってきた。 「小日向はんどないしたん?いつも弁当やんな?」 「寝坊したんです、まだチョココロネありますかね」 妃が丘では、学食内に売店がある。 生徒数に比べて、パンやおむすび、お弁当なんかは数が少ない。 「そんな3時のおやつみたいなんが昼食かいな。ウチうどんが食べたくなってん。奢ったるから付き合いぃな」 悪いですよ、と言おうとしたが、坂本はさっさっと券売機でうどんの券を二枚買ってしまっている。 「すみません、ご馳走になります」 強引というか何と言うか、そんなことを可笑しく思っていたが、はたと視線を止めた。
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