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ラーメンと炒飯を食べながら、華都音が小日向を目線で示して首を傾げた。
「んん?あーの女の子にちやほやされてんの誰だ?」
情報通の百合男がすかさず応える。
「確か~理科の小日向先生でしょ。いい男よねー、抱かれたいわぁ」
「ぬかせボケ。しっかしまあ目立つねぇ」
二人の会話を聞きながら、クロエは何も言わずにその人物を眺めた。
やっぱりだ。
今は目が合っていないから、そこまででないにしろ、やはり彼のことが何やら恐ろしい。
「ねえ、あの人なんだか変ではなくて?」
呟くような問に、華都音が片眉を上げる。
「変??変って?まあ、教師のクセに美形すぎるっちゃそうだけど。うちのクラスにも授業で来たけど普通に先生って感じだったぞ」
「そうじゃなくて…。ただの人間じゃない、みたいな」
はぁ?とラーメンのスープをレンゲですくったままクロエを見つめる。
百合男も、パスタをフォークで絡めながら、何言ってんのアンタ。と言う調子だ。
「変って言うなら、ほら、向かいの坂本ちゃんの方が変じゃなぁい?あの人関西人じゃないのに関西弁使ってるらしいわよ」
知らないわよそんなこと、と、どうでもいい情報を聞いたクロエは、とりあえずコロッケ定食を食べるのを再開した。
今日の日程では、昼休みの後講堂で各部活の新入生への紹介があるはずだった。
「クロエどっか部活入るの?」
「入らないわ。面倒くさいもん。これ食べたら帰る」
アンタはもう、とオネェマンはため息をつく。
「百合男はどうすんだよ?軽音部?」
「そ♪あと、部を立ち上げようと思ってるの」
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