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学校に着くなり、厳つい教師に 「ちょっと君!」 と歩みを妨げられる。 ちっ。 「一年だよな、いくら自由な校風って言ってもだ、指定の制服をまったく着ないとは何事なんだ」 ふう、とため息をついた後クロエは平然とした口調で言い放った。 「ごめんなさい、でも私、黒い服でないとアレルギーが出て、体中湿疹だらけになって呼吸困難になってしまいますの…」 「は?」 「それでは失礼します」 待て!と言うその教師を無視して教室にたどり着き、読みかけのバタイユの小説を開いた。 クラスに友達が欲しいとも思わないので、教室の喧騒はひたすらにやかましいとしか感じない。 「席つきやー!」 HRが始まっても本は畳まなかった。
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