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昼休みになり、ますます教室は騒がしい。 クロエの隣の席に男子生徒が四人程集まってきた。 「姫園さんって、どこ中だった?」 「彼氏とかいるの?」 図々しくも、椅子まで運んでクロエの机に自らの弁当箱を置いてくる者もいる。 下々の庶民め… 「…私、静かに食事したいの」 顔を見合わせる男子達にため息をつき、鞄からランチボックスとCDウォークマンを抱えて、すっと立ち上がった。 教室はうるさいし、その上むさ苦しい。 廊下に出て、人の気配が少ない方へと歩みを進めることにした。 一年生のクラスがあるのは、南校舎の一階。 渡り廊下を越えると、北校舎、特別教室棟になる。 その二階まで来て、クロエはキョロキョロと辺りを見回した。 「さすがに廊下に座って食べるのは優雅じゃないわね…」 どうしようかしら、と突き当たりの教室のプレートを見上げた。 理科室。 まだ入ったことのない場所だった。 なんとなく扉をスライドさせようと手をかけた。 ガラッ 「……開いてる…」
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