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てっきり施錠されているものと思っていたので、すんなり開いた扉に少し驚いた。 そっと室内に入ると、誰もいない広々とした空間は、廊下よりも温度がちょっとだけ低いような気がした。 微かに薬品の匂いがする。 ここでいいかも。 ランチボックスとCDウォークマンを抱えた腕とは違う方のそれで扉を閉めてから、近くの椅子に座ろうとした時だった。 「くあぁ~~~っ」 肩が跳ねる。 誰もいないはずの室内の何処からか、声がした。 「…?」 聞こえてきた方に近づくと、なるほど、ここか、とクロエは小さく息を吐いた。 理科準備室。 今の声の主はもう解っている。 これも怖いもの見たさ? コンコンコンコン、と四回ノックしてみた。
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