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「?はい??」
「はい?やあらへんわ。自己紹介。なんやねん、初日からシカトされるとかありえへんわぁ。舐めとんのか」
ああ、そう…。
と、クロエもため息混じりに言ってゆっくりと立ち上がった。
制服を着ていない上に、人形のような顔立ちの美しい少女。
他のクラスメイトは不思議そうに、興味深げにクロエに視線を向ける。
そんな視線を気にするでもない風に声を出した。
「姫園クロエ」
それだけを言うと、直ぐに着席する。
それから、もう一度イヤホンを耳に当てようとした時だった。
「それだけ?」
低い、柔く、穏やかな声がした。
顔を上げてそちらの方に視線を向けた瞬間、クロエは一瞬目を見開いた。
それからたっぷり五秒くらい、その男を見つめる、目が合ったまま。
「貴方は…?」
ん?とその男は、瞬きをしたが、すぐに苦笑まじりに少し可笑しそうに口を開いた。
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