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ドサリ。
力尽きたように、ウミが砂浜に倒れ込んだ。
仰向けになって、天を見あげる瞳。 目尻から伝う一筋の涙。
「簡単に捨てちゃえるほど、いらない子だったんだって考えるのがつらくて。
生まれてこなければ良かったのかな? とか悩んだりもした。
だから落ち込むと時々、手紙やDМで相談にのってもらってた。
優しい言葉で慰めてもらえるのが嬉しくて、勇気づけられるような気もして、救われたから」
「……そうなんだ。 ふぅん」
そんなの知らなかった。 自分のほうが、ずっとそばに居たのに。
何で話してくれなかったんだよ、とは思うけど、まあ、しょうがないか。
一時期けっこう、家でも学校でも、ウミのことを避けてたもんな。
つらかったのに力になってあげられなくて、ゴメン。 ……今なら、ちゃんと言えるんだけど。
「たぶん、それで調子に乗っちゃったんだ私。
特別扱いされた気分で、舞いあがって、勝手に大切にされてると思い込んでた。
むこうからしたら、情緒不安定な妹が心配だっただけだよね。
他の気持ちなんか、あるわけないのに。 勘違いしてバカみたい。 ただの妹のくせに……」
両手を覆って泣き出した相手を、どうすることもできずに眺めてた。
わかってあげられれば良かった。 兄貴じゃなくて自分が。 そしたら、もっと……。
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