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「はっ?え??……水嶋、結城って……」
(結城って名前……確かお父さんが言ってた息子さんで~……私の結婚相手の~……)
姫乃はそのままフリーズしてしまった。
「ったく!忙しいのに……とりあえず帰るぞ」
フリーズしたままの姫乃の手を掴み、グイグイと引っ張り、歩きだす結城の手を振り払い抵抗する。
「ちょっ、ちょっと!どういう事ですか!?何で私が貴方の所に帰らなくちゃならないんですか!」
姫乃の言葉に結城はビックリした顔をした。
「あんた何も聞いてないのか?両親は今俺が経営してるマンションに引っ越したんだろ?あんたは今日から俺と住むことになってんだよ」
「はぁ?なにそれ!何にも聞いてないし!」
結城の話しの展開についていけない姫乃は頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。
「恥ずかしいからこんな場所でしゃがみ込むんじゃない……ったく、本当にどういう教育受けてきたんだ?あんた」
ギロッっと結城を睨む姫乃に、結城は腕組みをしたまま姫乃を見おろしていた。
「とりあえず車に乗れ。話はその中で話してやる」
姫乃は無言で立ち上がり、『お前の仕事先の駐車場に車が止まってるから付いてこい』と言われ、姫乃は結城の少し後ろをついて歩いていく。
「……本当に最悪……」
ボソリと言った姫乃。
結城は聞こえないフリをしていた。
お互いの印象は最悪で始まったのだった。
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