49人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
1
1
ロードリアスの正門広場に向かう大階段を、少女が駆け下りてくる。
上階の窓から、堀にかかる跳ね橋を渡ってくる、懐かしい人の姿が見えたのだ。
白髪と白髭を風にそよがせ、黄金に輝く鎧をまとった偉丈夫。
「おじい様!」
頬を上気させて、大きく広げた腕に飛び込んだ。
「久しいのう。元気にしておったか?」
「はい!」
六尺を超す長身の祖父は、少女を軽々と腕に抱いて微笑む。
「やっと、約束したものを見つけてきてやったぞ」
少女ははっと息を呑む。
その眼がみるみる涙で潤む。
逞しい首にぎゅっと抱きつき、泣き顔を隠した。
『・・・お別れするのは嫌です・・・』
小さな心が、そっとささやいた。
最初のコメントを投稿しよう!