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皆が心配しているだろうな。
黄金竜の子飼いだった騎士たちが、ふもとに食料や日用品を運んでくれていたのだけれど。
取りに行く途中で、沢に落ちてしまったのだ。
治るまで、連絡が取れない。
(何があっても、登ってこないでって言って来たけれど・・・)
その頃、ふもとの騎士たちのキャンプでは、激高した若い騎士を全員で説得しようとしていた。
「食料を取りに来ないなんて、何かあったに違いない!
野生の竜、それも手負いの竜のそばにいるんですよ!
絶対、何か危険なことが!」
「心配しているのは皆同じだ、ハリス。
だが、絶対に近づくなと言いおかれているだろう!」
「お館様にも、姫君ご自身にもだ!」
「初めから覚悟されて行かれたのだ」
「何が有ろうと、近づくなという主命だ!」
「皆同じ思いなのだ、ハリス。耐えるしかない!」
同じ思いだと?違う、断じて違う!
私ほど姫を思っている者はいない!
姫!どうかご無事で!
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