15

1/1
前へ
/45ページ
次へ

15

15  皆が心配しているだろうな。  黄金竜の子飼いだった騎士たちが、ふもとに食料や日用品を運んでくれていたのだけれど。  取りに行く途中で、沢に落ちてしまったのだ。  治るまで、連絡が取れない。 (何があっても、登ってこないでって言って来たけれど・・・)  その頃、ふもとの騎士たちのキャンプでは、激高した若い騎士を全員で説得しようとしていた。 「食料を取りに来ないなんて、何かあったに違いない!  野生の竜、それも手負いの竜のそばにいるんですよ!  絶対、何か危険なことが!」 「心配しているのは皆同じだ、ハリス。  だが、絶対に近づくなと言いおかれているだろう!」 「お館様にも、姫君ご自身にもだ!」 「初めから覚悟されて行かれたのだ」 「何が有ろうと、近づくなという主命だ!」 「皆同じ思いなのだ、ハリス。耐えるしかない!」  同じ思いだと?違う、断じて違う!  私ほど姫を思っている者はいない!  姫!どうかご無事で!
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加