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  17  黄金竜との暮らしが長くて、つい、忘れてしまった事。  竜は、野生の獣なのだという事。  人に触れたことのない、人の生死など歯牙にもかけぬ、誇り高い野の生き物。  偽りを。何より嫌う。  溶けた金のような眼に捕らえられ、少女は身動きもできない。  気力がすべて失せ、意識も霞むような、獣の怒り。 「私が人の姿になれば、情が移ると思っていたのか!  お前が沢へ落ちたのも、怪我をしたのも、計略のうちか!」 「ちが・・・あれは。事故・・・!」  竜は手荒く少女の首筋を掴んで顔を上げさせた。  半身を引きずりあげられ、痛みに声を上げそうになって必死でこらえる。 (力の入れ方がまだわかっていないのよ・・・) 「人間になってほしかったんじゃない・・・ただ、人間を襲わないって、約束して・・・欲しくて・・・」  燃え上がる、竜の怒り。 「私を謀るな!」  荒々しく揺さぶられ、とうとう少女は泣き出した。  泣きながら、竜を見上げ、悟った。 (何よりも、人間になって欲しいと、願ったんだ、私・・・)  黄金竜とは全く違う、荒々しく、若く。美しい、野生の獣。  傍らで暮らし、話しかけながら、人間だったらどんな姿を取るのだろうと、いつしかそればかり考えていたのだ。  人間を襲わないと約束をさせなければならない、大事な使命も忘れて。  
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