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19  涙に濡れた眼で、少女は竜を見上げる。    黄金の髪を風に吹き乱し、怒りに震え、歯を剥きだして唸る丈高い姿。  目の前にある両手がひきつり、ゆっくりと開き、閉じられる。  人の姿をとっていても、凄まじい怒気が少女を恐怖で金縛りにする。  身震いするほど恐ろしく、そして美しかった。 (殺される)確信する。    一瞬で首の骨を折られ、谷に投げ捨てられる自分の姿が見えるようだ。  それで、すべては終わり。  些細な事だったと、竜王は私を忘れる。 (殺されても、いい)  この竜に殺されるなら。  死ぬのなら、もう、何も怖くない。
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