5人が本棚に入れています
本棚に追加
体中を這い回る手の平に、なにもかもが固まって、動きを止めてしまいそうになる。
冷たい手が気持ち悪い。
「なあに」
甘く返す、こいつの声が気持ち悪い。
首をひねる。
睨みあげる。
「お前なんか、死んだって嫌いだ…!!」
合った瞳は、冷たいのに熱くて、その欲望の色に吐き気がした。
「ごめんねぇ。それ、聞き飽きた」
ニコリ。
条間が笑う。
幸せそうに笑う。
恐ろしいほどの力で見上げた顎を挟まれ、唇に噛みつかれた。
「っいぁ…!」
ぶちぶちぶちぃ、と酷い音がして唇が血に塗れる。
それにまたわらって、条間は俺に囁いた。
「愛してるよ、山クン」
凍える声は、出会ったときから一度も揺らぐことなく、俺に愛を突き刺して、笑った。
最初のコメントを投稿しよう!