201人が本棚に入れています
本棚に追加
どのくらい、そうしていただろう。
自分が周囲の音をまったく聴いていないことに気づいたのは、冴島のため息が聴こえたときだった。
黙りこくったままのあたしを見かねた彼がこぼすまで、あたしは自分自身におどろき、呆然としていたのだ。
「──恋とか、必ずしなくちゃいけないものなの?」
深いため息を引きずり、冴島は言い落とす。
「え……?」
「いろいろ、悪かったわよ。きつい言いかたしちゃって」
「でも、ぜんぶ本当のことだったし……」
「アンタ、アタシに対して素直すぎるわよ。いくら友達だからって、ここまで言われて黙ってることないんだから」
「……ッ、ひどいってわかってるなら、どうしてそんなことポンポン言うのよ」
.
最初のコメントを投稿しよう!