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父王が崩御し、二日の内に葬儀が為された。
力ある王の逝去に家臣や大勢の民は涙を流した。
亡き王の一人息子であるラステアは、自室からその様子を見下ろしていた。
これからの事を考え、責任と重圧に押し潰されそうだった。
膝を抱えて顔を埋める。
そんな彼の部屋に、あの冷えた声が響いた。
「ラステア様」
「…叔父様」
顔を上げ小さく笑う。
今はこの叔父が王の代理として国を支えていた。
差し出された手を取り口付ける。
「ラステア様。一度申しましたが、私の事はライジスとお呼びください」
「……そうだったね。…ライジス、後ろの者達は?」
扉の前に佇む二人に目を遣る。
ラステアの声に、その二人は仰々しく頭を下げた。
鮮やかな赤毛の青年と落ち着いた青髪の少年だ。
「初めてお目にかかります。私は火龍王・カザニクス」
「私は水龍王・ターナキアと申します」
「…初めまして。僕はラステアだ」
挨拶を返しながらライジスに視線を向ける。
ライジスは胸に片手を添え、ラステアに頭を下げた。
「ラステア様の腹臣としてこの者達を連れて参りました」
「……腹臣?」
「はい。二人にはこの城に部屋を与え、常にラステア様の警護をさせます。その紹介に、と思いまして」
「…そうか」
緩慢に息を吐き出す。
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