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「ねぇねぇラスティ!こっちには何があるのー?」
「あっ、ターナ!そっちはダメだよっ!!」
広い城の中庭を走り回るターナキアを追いラステアが慌てている。
この中庭には王族以外が入ってはいけない社がある。
そこに入ればいくら龍王とはいえ厳しい罰が与えられるだろう。
それを知っている以上、ラステアはターナキアをそこに近付けたくない。
それなのにターナキアは小柄ですばしっこい。
彼が足を止めない以上捕まえるしかないが、体力に自信のないラステアに捕まえられるなど到底無理な話だ。
仕方なくのんびり後ろを走るカザニクスに助けの視線を送る。
半分泣きそうなラステアの顔に苦笑し、背中を丸めると赤く骨張った翼を出した。
ゆっくり浮かび上がるとターナキアに向かい、鷹がネズミを捕るように拾い上げた。
「あかんなぁ、ターナ。ほら見てみぃ?ラスティ泣きそうやんか」
「…ホントだぁ」
ラステアの目の前に降り立ち、腕に抱いたターナキアを降ろす。
「ラスティ、ごめんね…?」
「…ううん。でも気を付けてね?あの社の罰は僕でも取り下げれないから」
「ん。わかったー」
謝りながら抱きついてきたターナキアの頭を撫でる。
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