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「あーそっかぁ…。ねっ、僕が先じゃダメぇ?」
「ワイが先やろ。そっちに慣れたらこっちがやりにくーなるんやから」
「そりゃそうだねー。…む~、でもなんかやだ~!」
「だーもーダダこねんなや!どっちにしても初モンには変わらんのやから」
「ぶー!」
「…黙り。戻ってきはった」
片手で器用に扉を開けたラステアから茶を乗せたトレーを受け取る。
「…重かろ?すまんなぁ気ぃきかんで」
「大丈夫だよ。ありがと」
「わーい、お茶お茶!」
テーブルに手をつき、ターナキアはにこにこと笑う。
そんな様子にラステアは思わずにっこりと笑った。
「(…、…可愛えーなぁ)」
内心笑った。
警戒心を欠片も持たない彼を心の底から愛しく思って。
そして、そんな彼を嬉しく思った。
先程受け取った包みから、ほんの一摘みの粉をカップに溶かす。
本来なら中身全部溶かし込むべきだが敢えてそれはしない。
…完全に効くと、自分が面白くないからだ。
僅かに瞳を細める。
ターナキアにつられて笑い、ソファーに腰を下ろしたラステアにカップを渡す。
もちろん、薬を溶かしたものだ。
「あ、ありがと」
「…いんや。ほい、ターナ」
「わーい!お茶お茶~」
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