ヤコ

2/10
前へ
/10ページ
次へ
かつて福岡県には筑豊炭田と呼ばれる炭鉱が広がっていた。 そのため、炭鉱の周辺にはそこで働く、炭坑夫とその家族たちが暮らす炭鉱住宅、いわゆる炭住が多く存在した。 この話はその炭住長屋で実際に起こった出来事である。 その日、炭住長屋は蜂の巣をつついたような騒ぎだった。 炭坑(ヤマ)で炭塵爆発が発生したのだ。 「どげんなったとね!?落盤ね!?」 「わからんたい!なんかの火が引火して爆発したとくさ!」 「早ようお医者さんば呼べ!担いで来たろうが!」 ヤマから救出された負傷者たちが続々と長屋へ運び込まれて来る。 ほとんどが坑内火災による火傷を負っていた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加