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無論、鉱山会社が経営する病院に真っ先に運ばれるが、おびただしい負傷者の数にすぐに最寄りの病院は満杯になった。
そこでやむなく、病院に入り切れなかった負傷者は木造長屋の我が家へ帰るしかなかったのだ。
「うちに帰ってきたよ!もう大丈夫やけんね!」
その家の妻も戸板に乗せられ、ぐったり眼をつぶる夫を励ました。
すぐに負傷した夫を布団に寝かせる。
しかし、掛け布団は掛けられない。
あまりに火傷がひどいからだ。
顔は言うに及ばず、首から下の上半身には包帯が幾重にも巻かれていた。
病院で応急措置だけはされたのだ。
「お医者さんに往診ば頼んどうけんね!」
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