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暗闇の洞窟の中へ #2
洞窟の奥の方に入っていくと、地面の水溜まりはしだいに深くなっていった。
美月が歩く度に、洞窟内に美月の足音が響く。
ビチャ、ビチャ、
ビチャ、ビチャ……。
美月の靴の中には、水が入り、美月の足は濡れていた。
暗闇の洞窟はどこまでも深く、いつ終わりがくるかもわからなかった。
〈 お父さんとお母さん、その他、長島優子をいじめた人たちは、三十年前にこの気味の悪い洞窟を歩いたのね。
お父さんたちは、この洞窟の中を長島優子の死体を運びながら歩いて、怖くなかったのかしら?
それとも、自分たちの罪を隠すのに必死で、そんなことも考えられなかったのかしら? 〉
美月の目の前に、再び分かれ道が現れた。
美月は思わず、その分かれ道を見て立ち止まると、今度は洞窟の左側から声が聞こえた。
『こっちに来なさい』
美月はその声の通りに、左の方へと足を進めた。
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