第三章

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(´・ω・`)「香りますねぇ、このみずみずしさ、       酸味を感じさせる高濃度な……」 一度男が彼にとてつもない焦りを感じていたであろうはずが、 男は開き直ったか元の威厳のある顔をして反論した。 私は、そもそもこの香水のなにが悪いのかがわからないのだが、 黙ってふたりのやりとりを見つめている。 (`・ω・´)「ハッ! アーボンオレンジがなにかあるかね?」 (`・ω・´)「私はこの香水をよくつけているのだ、       ミストタイプで使いやすいしな」 (´・ω・`)「……」 (´・ω・`)「………ぷっ」 (`・ω・´)「あ?」 まあもっともな反論をする男に、 警部はなにか言うのかと思えば、 その直後、私の想像できる展開とは 全く別の展開となった。 (´;ω;`)「ぶひゃひゃひゃひゃ!       あ、アーボンオレンジをですか!? ぶひゃひゃ!」 (`・ω・´)「……」 ああ、睨んじゃってるよこの人。 そして睨まれちゃってるよ警部。 ここで殴り合いでも起これば、 たぶんだれも止められないと思う。 (´;ω;`)「いまのあんたの態度を見てわかった!」 (`・ω・´)「ハ?」 (´・ω・`)「あんた……」 (´・ω・`)「“生の”アーボンオレンジを塗ったな?」 (`・ω・´)「……ハ?」 警部は、彼の何からそんなことを 断言したのかはわからないが、 少なからずや男はなにかに動揺していた。 根拠はわからずも、男は、警部の言った 自分が“生の”アーボンオレンジを使ったことを否定する。 (`・ω・´)「なにを急に」 (´・ω・`)「……実は、ね」 男の前で挑発でもするかのように、 アーボンオレンジの香水を左右に揺らす。 ちゃぷちゃぷと音を鳴らし、その存在を 存分にアピールした上で、語った。 (´・ω・`)「“ミストタイプ”の『アーボンオレンジ』の香水なんて、存在しないんだ」 (;`・ω・´)「………なんだと?」 警部は確かに言った、 “ミストタイプ”の『アーボンオレンジ』の香水は存在しない、と。 しかし、今、彼が持っているその香水が その“ミストタイプ”の『アーボンオレンジ』ではないのか。 私は不思議に思うも、警部は 依然怪しい笑みを浮かべている。 (;`・ω・´)「……意味が分からないな」 私も、男とは違う点でだが 意味が分からないことがある。 警部は、あからさまに嘘をついている。 なぜ、嘘をつくのかがわからないのだ。
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