序章

9/17
前へ
/342ページ
次へ
警部はどうやら、かぶっていた焦げ茶色の帽子も邪魔だったようで、 さっと取って足下の鞄の上にかけるようにして載せる。 その鞄を、足で壁に引っ付けるように蹴り押した。 (´・ω・`)「なんだかんだ言って、やっぱり地元で捜査するのが楽しくてさ」 (゚、゚トソン「でも、戻ってきてすぐ捜査とか言わないで、      暫くの間、現場の捜査は、部下に任せた方がいいんじゃないんですか?」 (´・ω・`)「そんなのヤダヤダ。刑事も警部も局長も、現場が大好きなんだよ」 (゚、゚トソン「はぁ……そういうもんですかね」 私が警部の拘りに適当に相槌を打つさなか、警部はコートのポケットを漁っていた。 おそらく中はキャンディとかでいっぱいなんだろうな、と微笑ましくそれを見ていると、中から見慣れぬものを取り出した。 . 34 名前: ◆wPvTfIHSQ6 :2011/08/27(土) 14:51:01.18 ID:9bUqTpSi0 (´・ω・`)「これ、知ってる?」 (゚、゚トソン「それは?」 橙がかった瓶の容器の中に、無色透明かオレンジなのかわからないが、 液体がちゃぷちゃぷと入っていた。 白地のラベルには、緑のお洒落な字体で「Arvon Orange」と印刷されている。 オレンジとは読めるのだが、前半が読めない。 (´・ω・`)「『アーボンオレンジ』をベースにした香水なんだけど」 (゚、゚トソン「あーぼん?」 (´・ω・`)「ふう……やっぱりお子ちゃまにこれの高貴さなんてわからないか……」 (゚ー゚;トソン「むっ!       知ってますよ、あぼーんなオレンジなんて!」 (´;ω;`)「ぶひゃひゃひゃ! あぼーんって!」 . 37 名前: ◆wPvTfIHSQ6 :2011/08/27(土) 14:53:10.09 ID:9bUqTpSi0 (゚、゚トソン「あ、あれ? なんでしたっけ」 (´・ω・`)「『アーボンオレンジ』、そんじょそこらじゃ手に入らない代物だよ」 (゚、゚トソン「はぁ……」 三角形のカタチをした、そのミストタイプの香水を左右に振り、自慢げに私の顔を見てくる。 確かにあぼーんなオレンジなんて知らないが、これではまるでこけにされた気分だ。 とことんそれのことについて問い詰め、逆に追い込んでやりたいところだ。 (゚、゚トソン「珍しいんですかそれって」 (´・ω・`)「珍しいもなにも、最果ての地でないと手に入れられない香水だし」 (゚、゚トソン「最果て……キタコレ辺りですか?」
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加