燃える頬

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……はずなのに。 「俺も……」 瞠目する私。 ……え!? 慌てて身を引いた。 彼の頭がシートの背を滑りながら落ちていく。 「え?亮太?……りょう、た?」 まだ身を起こす様子も無く、すやすやと寝息をたてる彼が突然にへらーと笑う。 「俺も……大好き……」 言い終わったのと同時に、地下鉄が地下から飛び出した。 他の土地ではどうか知らないが、それがありきたりなのか珍しいのか気にも止めたこともないけれども、途中から地上を走る地下鉄。 だからと言って、青い空が頭上に広がるわけではない。 雪が降っても大丈夫なようにと終着までシェルターで囲まれているから、窮屈さは変わらない。 「亮太?」 呼んでも起きない彼に、少しだけ安堵の息が漏れた。 ……良かった。聞こえた訳じゃない。 「もうすぐで降りるよ?」 その声が微かに震える。 まだ心臓は暴れ回っているまま。 彼に聞こえたわけではないことは理解した。 理解したはずなのに、自分の軽はずみな行動で亮太にばれそうになったのが怖かった。 この関係が消えてなくなるくらいなら……伝えない方がまだまし。 この想いはいつまでも秘めよう。 胸に手を添えながら、言い聞かせた。 ……ばか。 その言葉は意気地無しの自分に向けてか、いつまでも気付いてくれない幼馴染みに対してか。もうどちらかも分からなかった。
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