燃える頬

4/4
前へ
/4ページ
次へ
彼女がエロい水着を着て、俺に迫る。 耳元に掛かる吐息がくすぐったい。 「……大好き」 「俺も……。 俺も……大好き…… 」 漸く素直になってくれたのか。 まずい、普段はクールな俺のはずがにやけて堪らない。 ……そうか。漸く……。 随分と待たせやがって。あほ。 ……ダメだ。 にやにやが止まらない。 「……た。……うた。」 何だようるさいな。今良いとこなんだから、邪魔するなって! 漸く素直になったこいつに、今キスしようと……。 「……亮太!起きて、着いたよっ!」 ん? おきて? 起きて? 起きて!? 慌てて身を起こす。 あまりの深い眠りに一瞬自分がどこにいるのか分からなかった。 「亮太……大丈夫?もう、着いたから降りるよ?」 「……え?夢?」 つい、口に出た。 「亮太、さっき夢見ながらにやにやしてたよ。どんな夢だったの?」 「え?にやにや?いや……してないから」 まずい、つい現実でも……出てしまっていたのか? ん?てことは好きとかも言っちゃったのか!? 確認なんて出来ずに、向こうからの言葉を待つ。 「何か、俺も大好きって……言いながら」 気まずそうにそう言って、俺の幼馴染みが指先を弄ぶ。 「え?……あ、ああ……それ、な。それは……あれだよ……そう、海!海が大好きって夢ん中で、叫んでだな……」 「あ、そっか。海、ね。海……私も好き!」 外の明るさがシェルターを通ってホームを照らす。 彼女の頬が燃えるように赤いのは、夕焼けのせいだけではないような気がした。                     了
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加