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彼女がエロい水着を着て、俺に迫る。
耳元に掛かる吐息がくすぐったい。
「……大好き」
「俺も……。 俺も……大好き…… 」
漸く素直になってくれたのか。
まずい、普段はクールな俺のはずがにやけて堪らない。
……そうか。漸く……。
随分と待たせやがって。あほ。
……ダメだ。
にやにやが止まらない。
「……た。……うた。」
何だようるさいな。今良いとこなんだから、邪魔するなって!
漸く素直になったこいつに、今キスしようと……。
「……亮太!起きて、着いたよっ!」
ん?
おきて?
起きて?
起きて!?
慌てて身を起こす。
あまりの深い眠りに一瞬自分がどこにいるのか分からなかった。
「亮太……大丈夫?もう、着いたから降りるよ?」
「……え?夢?」
つい、口に出た。
「亮太、さっき夢見ながらにやにやしてたよ。どんな夢だったの?」
「え?にやにや?いや……してないから」
まずい、つい現実でも……出てしまっていたのか?
ん?てことは好きとかも言っちゃったのか!?
確認なんて出来ずに、向こうからの言葉を待つ。
「何か、俺も大好きって……言いながら」
気まずそうにそう言って、俺の幼馴染みが指先を弄ぶ。
「え?……あ、ああ……それ、な。それは……あれだよ……そう、海!海が大好きって夢ん中で、叫んでだな……」
「あ、そっか。海、ね。海……私も好き!」
外の明るさがシェルターを通ってホームを照らす。
彼女の頬が燃えるように赤いのは、夕焼けのせいだけではないような気がした。
了
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