3人が本棚に入れています
本棚に追加
「それにしても、暑すぎるだろ・・・・。地球温暖化恐るべし、だな」
頬を伝い垂れていく汗を拭いながら、ただひたすらに足を進める。
最も近いコンビニまで地味に距離があったとは。徒歩7分は夏場には辛い距離だ。
ラッキーセブン? あっても何の役にもたたないだろ。
内心で色々と愚痴りながら炎天を進む。冷たい魚が暑い陸に上げられたら、こんな気分なのだろうか。
一言も話さず内心で愚痴っていると、コンビニの看板がかなり近くなった。
あと百メートル程だ。しかしその距離は絶望的に長い。
喉も渇き、痛みが生まれてきた。口内がカサカサで、唾が出ないほど体内水分が渇いているのか。
入り口に近づくと自動ドアが開き、外とは正反対の快適すぎる冷えた空気が待っていた。
そこはまさに天国。灼熱地獄とは全く異なる。
色とりどりな商品が並ぶ陳列棚に目を泳がせながら、昼食になりそうな物を見繕う。
その他に必要なものをカゴに入れていく。
「必要なものは他には・・・・。無い、な」
体を反転させ、レジへと向かう。
店員が精算している間にポケットから取り出し、適当に小銭を漁る。
「合計で777円となります」
その一言にげぇ、と声を漏らしそうになるも噛み砕き飲み込む。
今日は7に憑かれてあるのか・・・・。
内心で呟きながら、小銭を再び漁る。今度はいくつか硬貨を掴み、レジカウンターへ置く。
小さな金属音をたてて、暫くすると鳴り止んだ。
レジ袋に入れられた昼食を手に取り、自動ドアへと向かうが、あの灼熱に飛び込むのは少し気が引ける。踏み出す足がやけに重く感じる。
もう少し、ここに留まっていようか悩む。
しかしここは選ぶのはたったひとつ。
重い右足を持ち上げ、一歩踏み込む。
姿に反応して自動ドアが開き、今度は蒸された風が頬をなで、そこに汗が滲む。
ここで止まるわけには行かない、そう言い聞かせ勢いよく店外へ。
もう外に出てしまったのだ。急いで自宅へ帰ろう。
そう、それが良い。
最初のコメントを投稿しよう!