海と響さんと美音さんの過去

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「置いてきたわよ!」 しばらくすると美音さんが戻って来て、プチパーティーになった。 「……。」 私はもの凄いツッコミたかった。 それは何でかと言うと…。 「あっ凄い。本当に唐辛子だ。」 「これパン入ってるぜ!」 「これはチーズとか入ってる。」 おにぎりの具があまりにもマニアックだったから。 美音さん達がまだ食べてないおにぎり達もどうして生まれたのかわからないものだった。 ……慎重に選ぼ…。 安全なものを探してると、普通に美味しい塩おにぎりがいてくれた。 ……あっ良かった。 ホッと胸をなで下ろすと、私の視界から塩おにぎりが消える。 「え?」 「……。」 なんとなく響さんの方を見れば、響さんの手には塩おにぎりが握られている。 響さんは一瞬私の方を見たけどすぐに包みを剥がし始めた。 「……。」 「…そんなに見てもやらないからな。」 目で訴えてもダメらしい。 ……他のは…。 もう一度おにぎり達の方を見たけどやっぱり恐ろしいものしかない。 ……何でこんなラインナップに…。 「……。」 「…半分だけだぞ。」 「え?」 「さすがに俺もそこにあるやつを食う気はない。」 「あっありがとうございます!」 ……助かった…。 響さんはおにぎりを半分にして、私に渡してくれた。 食べてみると安定の美味しさが口の中に広がり、何だか嬉しかった。 多分よくわからないのを回避できたからだと思うけど。 「あっそう言えば。」 琢磨さんが何か思い出したかのように声を上げた。 「どうしたの?」 「俺と真司、美音さんが名前言っただけでちゃんと自己紹介してないよな。」 「あっそういえばそうだね。」 確かに名前以外知らない。 ……響さんや美音さんと友達ってことは…二人も結構凄い人なのかな。 「じゃあ俺から。名前は菖蒲琢磨、響と同い年。職業は探偵ね。」 「探偵っ?!」 ……凄い…。 正直全くの予想外だった。 ……ん?…探偵? 私はふとあることを思い出した。 ……響さん…確か私を調べるのにその手の人を使ったって…。 チラリと響さんの方を見ると、響さんは私から視線を逸らした。 けど私はじーっと響さんを見続ける。 すると耐えきれなくなったのか、響さんは小さく舌打ちしてから、 「そうだ。こいつがお前のこと調べた奴だよ。」 と、私が予想した通りのことを言った。
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