海と響さんと美音さんの過去

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「…私と響はね…よく深いところに行って遊んでたの…浮き輪を使って。」 「……。」 「深いところに行って…私は…遊びのつもりで……。」 「……。」 「響の浮き輪をひっくり返したの。」 「……。」 「そしたら運悪く響の足に海藻が絡まって…響は溺れた…。」 「……。」 「すぐに助け出されたんだけど…響は私を許してくれなかった。」 「……。」 「ここはね…私達が仲良かった時によく遊んでた場所なの…。」 「え?」 「このバルコニーから見える景色が大好きだった。」 「……。」 「響はもう嫌いでしょうけどね。」 「……。」 「だからここに来るといつも悲しくなるの。もう戻れないんだって思いしらされるから。」 「……。」 「…ごめんね…気分悪くしちゃったでしょ。」 「…いえ。」 「許さないでね椿。」 「…え?」 「私は椿を利用してるんだから。」 「…利用…?」 ……私を…? 「うん。私は響ともう一度仲良くなりたい。けどきっかけがなくてうまく踏み切れなかった。」 「……。」 「けど響が椿の話を父さんや私に言った時…チャンスだって思った。」 「……。」 「椿と仲良くなれば…また仲良くなれるかもしれないって。」 「……。」 「…私は最初から…椿を利用してたの…自分の願望のためだけに……。」 「……。」 「本当にごめんね……。」 「……。」 ……そんな…私は…ずっと……。 「美音さん…。」 「ん?」 「本当にすみませんでした!!」 「…へ?」 「私、美音さんがそんなこと思ってるなんて全然気づかなくて、普通にしてました!」 「え?うん。」 「気づいてたら何かできたかもしれなかったのに!」 「……。」 ……どうしよう…どうしよう。 私は何で気づかなかったんだろう。 美音さんが響さんと仲直りしようとしてたのにそのチャンスをことごとく私が潰してたんだ…。 ……私はなんてことを…! 「本当にすみませんでした!!」 「ちょっと椿落ち着いて。」 「え?」 美音さんを見れば驚いた様子で私を見ていた。 驚いたと言うより信じられないもの…未確認生物を見たかのような顔をしていた。 「椿。」 「はい。」 「私は椿を利用してたのよ?」 「はい。」 「私のこと嫌になったでしょ?」 「? 何でですか?」 そう私が聞くと美音さんは固まった。
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