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「何でって…私は…その…。」
「?」
「とにかく腹立たないの?」
「立ちませんよ?」
……美音さんどうしたんだろう?
美音さんは唖然とした表情で私を見ている。
「…椿。」
「はい。」
「椿は私が椿を利用してたことをどう思ってるの?」
「申し訳なかったです。」
「…何で…。」
「だって美音さんが響さんと仲直りできなかったのは私のせいなんですよね?」
「それは違うわよ。」
「え?!」
「ねぇ、椿…椿は何で…。」
美音さんは震えた声で俯きながら言葉を発した。
「何で怒らないの…。」
今にも泣きそうな美音さんの声。
私はどうしてなのか分からなかった。
美音さんは何も悪いことしてないのに……。
「…怒るも何も…美音さん優しかったじゃないですか。」
「え?」
「普通利用するだけだったら…服選んでくれたり…一緒に出かけてくれたり…私の話を聞いてくれたりしませんよ。」
もしかしたら私の話を聞いたのは響さんの為だったかもしれないけど。
それでも…。
「私は美音さんに救われてます。だから怒りません。例え利用する為の演技だったとしても。」
私は美音さんが大好きだから。
一度好きになったらそう簡単嫌いになんてなれない。
そう響さんに教えてもらったから分かる。
私は美音さんを嫌いになれないって。
「それに信じてますよ。全部が演技じゃなかったって。」
「…そっか…。」
そう言って美音さんはテーブルに突っ伏した。
微かに震えているのがわかる。
「…響が惚れるわけだね…。」
「え?」
美音さんは泣きそうな顔のまま、けどどこか嬉しそうに笑いながら私を見つめた。
「椿。」
「はい。」
「ありがとう。響が好きになったのが椿で良かった。」
「…私も…響さんのお姉さんが美音さんで良かったです。」
……ところで…。
「美音さん…あの……。」
「ん?」
「響さんと仲直りするのは……。」
「…椿にはもう普通に接するつもりだし…もうやめるよ。」
「え?!」
……そんな…。
仲直りできなかったの私のせいなのに。
…これじゃあ……。
「椿にも悪いし…「全然悪くないです!!」へ?」
私だって…私だって……。
「私だって仲直りして欲しいんです!」
「でも…。」
「私は…二人とも大好きですから。」
「……。」
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